流産手術の危険性

手術としてのリスクは当然のことながら存在します

流産手術は10分程度で終了する非常に短い手術なのですが、手術としてのリスクは当然のことながら存在します。ここで書いていることは滅多にないことなのですが、念のため頭に入れておくと良いでしょう。

 

妊娠した子宮というのは、通常時よりも軟らかく変化していきます。このことから流産手術では金属製の器具を使用することとなるので子宮に孔が空いてしまう子宮穿孔の可能性が高まってきます。子宮というのは筋肉で出来ているので小さな孔であればそのまま様子を見ることによって収縮して自然に閉鎖することとなりますが、大きくなってしまいますと出血が多くなり開腹をして孔を縫合する必要が出てきます。さらに子宮のすぐ上には小腸や大腸が存在していますが、子宮と貫通して腸管を突き刺してしまいますと腹膜炎などが発生するのでこの場合におきましてもやはり開腹手術が必要となります。 このことから「数分で終了する手術」と術者が気を抜いてしまうことが一番危険なこととなるのです。

 

子宮内膜を掻爬することとなりますが、この時、子宮の筋肉の内側を軽く削る必要があります。流産手術を何回も繰り返してしまいますと子宮内部が荒れてしまい、癒着を起こすことが考えられます。これは「アッシャーマン症候群」と呼ばれており不妊症の原因となってしまいます。手術の回数が増えるとそれだけアッシャーマン症候群の確率は増えると推測されています。流産手術は幾度と無く行われてきていますが、完璧なアッシャーマン症候群の方はほとんど見ることはありません。それだけ珍しいこととなります。

 

流産手術というのは、必要のある手術であることは承知のことだと思います。しかし、自分の意志によって実施される、中絶手術は避妊をすることで事前に防ぐことが出来るのです。中絶手術を何度も繰り返してしまうということは、癒着という観点からすると良いものでは無いのです。

 

子宮内腔に傷がありますと、妊娠をした時に癒着胎盤の可能性も出てくることがあります。 癒着胎盤というのは非常に大量の出血を起こしてしまいます。 このことから医師が妊婦さんに以前の流産手術歴などを確認することがありますので、正直に答えるようにしましょう。

 

このように流産手術にはある程度のリスクがあることを覚えておいてください。たかだか数分で終わる手術なんて簡単!なんて考えは絶対にしてはいけません。担当医の事前の説明をよく聞いて納得してから手術を受けるようにしましょう。